【出題頻度】

ジョン・D・クランボルツは、バンデューラの社会的学習理論をもとに、キャリア意思決定における社会的学習理論を提唱した、キャリアを中心とした教育心理学者。
よく出題される代表的な「計画的偶発性理論(プランド・ハップンスタンス)」や「偶然を作り出す5つの行動」・「キャリア意思決定に与える4要因」を中心に、下線部キーワードをしっかりおさえておきましょう!
もくじ
クランボルツの理論背景

- バンデューラの社会的学習理論をもとにしている
- キャリア意思決定における社会的学習理論(SLTCDM:Social Learning Theory of Decision Making)
- 学習し続ける存在としての人間を強調している
キャリア意思決定に影響を与える「4要因」
- 遺伝子的特性・特別な能力
○ 職業の好みやスキル獲得のための能力に影響を与える。
○ 性差(ジェンダー)、民族、身体的な外見、身体的な障害などが含まれる。
特別な能力には知能や音楽運動能力などがあたり、遺伝子的な特性と環境との相互作用の結果として表される。 - 環境的状況・環境的出来事
○ 個人のコントロールを超える出来事や状況を指す。経済情勢や政治状況、雇用機会、自然災害など。 - 学習経験
○ 道具的学習と連合学習の2つのタイプに分けられる。 - 課題接近スキル
○ 課題や活動に対して適応するためのスキル。
○ 課題に対して目標を定め、取り組み、行動していく。
キャリア意思決定における社会的学習理論では、4要因の結果として、自分に関する信念と仕事に関する信念の2つの信念が存在するといわれています。
1、自己観察般化:自分に関する信念。自身のパフォーマンスを評価したり興味や価値観を査定すること。
2、世界的般化:自分を取り巻く環境についての一般化した言語化をするようになること。職業に関するイメージやステレオタイプなど。

キャリアカウンセリングの目標
- 今のクライエントが有している興味・価値観・能力にマッチした職業を見つけることではない。
- 変化し続ける仕事環境において、クライエント自身が満足のいく人生を作り出していけるように学習を促進させること。
- 学習は、スキル・興味・信念・価値・職業習慣・個人特性に関することなど。
クランボルツの「計画的偶発性理論(プランド・ハップンスタンス理論)」
- 決定をするより「未決定」であることの方が、予期せぬ出来事をうまく新たな学習へ結びつけることができる。
- 未決定=オープンマインドであること。
- 計画したことを絶対視するのではなく、未来は予測や計画通りに進まないものとし、それを学習の機会と捉える。
- 偶然の出来事を積極的に活用し取り入れること。
- 自分自身の意識や努力によって、偶然の出来事を作り出す行動が重要である。
偶然の出来事を作り出す「5つの行動」

- 好奇心(Curiosity):新しい学習機会を模索すること
- 持続性(Persistence):失敗に負けず努力し続けること。上手くいかなくても諦めない。
- 楽観性(Optimism):新しい機会は必ず実現するものと捉えること。予期していたことと違う出来事もプラスに捉え楽しむこと。
- 柔軟性(Flexibility):信念やこれまでの概念、態度などに固執せず、状況や時代に合わせて考えを変えていくこと。
- リスク・テイキング/冒険心(Risk-taking):結果が見えなくても行動を起こすこと。失敗を恐れて行動しないのでなく、学習の機会と捉え飛び込んでみること。
まとめ|ココだけはおさえておこう
さいごに、ジョン・クランボルツについて、試験に出題されたことのあるキーワードを中心にPOINTをまとめておきます。
- クランボルツの理論は、バンデューラの社会的学習理論をもとにしている
- キャリア意思決定における社会的学習理論(SLTCDM)
- 学習し続ける存在としての人間
- キャリア意思決定に与える「4要因」(下線部キーワード)
- 計画された偶発性/プランド・ハップンスタンス(①〜⑤のうち、①と⑤)
- 偶然を作り出す「5つの行動」(下線部キーワード)