出題頻度

マーク・サビカスは、ノースイースタン・オハイオ大学医学部行動科学科の学科長及び教授。
サビカスの研究に最も影響を与えたのは、スーパーとキトソン。スーパーは複数の理論を構築しきたが、「断片的な理論」として、ゆるやかなまとまりをもつにとどまっていたが、サビカスは、スーパーの断片的な理論を包括的な理論に統合できるように進化させていった。
21世紀にふさわしいキャリア発達・キャリアカウンセリングの理論として、「キャリア構築理論」を提唱。理論上の主要概念とされる「社会構成主義」や「職業パーソナリティ」「キャリア・アダプタビリティ」(特に4次元)、「ライフテーマ」「キャリア構成インタビュー」など、試験への出題頻度も高いので、しっかりと抑えておきましょう!
もくじ
社会構成主義
- サビカスは、21世紀にふさわしいキャリア発達キャリアカウンセリングの理論として、「キャリア構築理論」を提唱。
- 「キャリア構成理論」は社会構成主義に端を発している。社会構成主義とは、自然や自己についての正確で客観的な説明というのは、社会からの産物であり、会話や人々の関係性から生まれたものであるという考え方。キャリア理論においても、出来事の解釈やクライエントの置かれている環境など社会との関係性について、語りを重視。(語りの中に意味づけが生まれる)
- キャリアは客観的なものではなく、主観的なものであり単なる事実の羅列ではない。過去の職業経験や現在の経験などを振り返って自分なりの意味づけをすることにより、未来につながっていくという考え方。
- キャリアコンサルタントは、クライエントの経験を「意味あるストーリー」にする手助けを行い、クライエントと共に物語を構築していく。

職業パーソナリティ
- キャリアの「What」を示す部分を職業パーソナリティと呼び、キャリアに関連した能力・欲求・価値観・興味によって定義されている。
- どの職業に関心をもつかによって、個人が属する地域や学校での個人の評判を決めることがあるが、これが職業の意味が社会的に構成されていることである。
キャリアアダプタビリティ
キャリアアダプタビリティとは、多様な役割を担う職業人が、その役割を果たし職業生活に成功と満足を得るには絶えず変化する社会環境へ適応することが求められるという概念。
クライエントの適応(アダプタビリティ)を援助するカウンセラーは、クライエントをみる際、社会と自己という2つの観点を持つ必要があるとサビカスは述べている。
1つ目の観点は、社会がクライエントにどのようなことを期待し要請しているのかという側面であり、2つ目は、その要請に対してクライエント自身がどのように対処しようとしているのかという適応の観点である。
- 社会からの要請である発達課題とトランジション
スーパーの唱えた人生の5段階の発達課題とトランジションを、サビカスは社会環境が激しく変化する今日では、トランジションは各発達段階のなかでも起こりうるものであり、予測困難な変化を伴って生じるとした。 - キャリアアダプタビリティの重要性
アダプタビリティとは「適応」のこと。人は変化する環境の中で自ら変化し、適応を繰り返すダイナミックなプロセスを通じて、自らの可能性を拡大させながら自己概念を発達させ、実現を目指していく。それゆえに「ありたい自分になる」ためのキャリア・アダプタビリティ「How」が必要。 - キャリア・アダプタビリティの4次元
キャリア・アダプタビリティは「関心・統制・好奇心・自信」の4つの次元から成り立っている。キャリア・アダプタビリティの4次元

ライフテーマ
- キャリアの「Why」に対応する部分がライフテーマとなる。
- 個人が職業行動に意味や方向性を与える解釈や人との関わりのプロセスに注目する。
サビカス曰く解釈や人との関わりプロセスは、キャリアストーリーのなかで語られ、そこにライフテーマが見られる。
❶ キャリアストーリーとは、個人が直面した課題や職業上の転機を語ったものであり、そのなかで個人が何を感じどのような行動を取るのか、意味づけが含まれたものである。
❷ キャリアストーリーにまとまりを与えたものがライフテーマ
❸ ライフテーマは、個人にとって”重要なこと”そのもの
ライフテーマは個人が何のために行動するのか、その意味付けが色濃く表れたものであるため、自己概念にとって重要なものとなる。
キャリア構成インタビュー
サビカスは、キャリカウンセリングへの応用として、カウンセリングモデルを提示。
クライエントのライフテーマを明らかにし、転機についての意思決定を支援する面接手法のことを「キャリア構成インタビュー」とし、5つの項目に分類。
- ロールモデル:演じる人としての自己・自己概念
Q「子供の頃、誰に憧れ、尊敬していましたか?」 - お気に入りの雑誌・テレビ番組やWEBサイト:主体的に動く人としての努力と目標・クライエントの興味
Q「いつも読んでいる雑誌やテレビ番組はありましたか?」 - お気に入りの本:創り出す人としてのお気に入りの台本
Q「本や映画で好きなストーリーはどんなものですか?」 - モットー:クライエントの自分自身へのアドバイス・アダプタビリティのリソースや適応的な行動
Q「好きな名言や格言は何ですか?」 - 幼少期の記憶:キャラクターアーク、モチーフとなる過去のネガティブな経験であると同時に、今や将来をガイドするためにクライエントが自ら選択し再構築した記憶
Q「幼い頃の思い出は何ですか?」
サビカスのキャリア構築理論には、スーパーやキトソン、ホランドだけでなく、アドラーの考え方も色濃く反映されている。
クライエント自身が語る目標とその達成の手段に着目する点やクライエントが人生に対処するために進化させてきた独自の方法(ライフスタイル)を理解することができるからといった点。
キャリア構成インタビューを通じて、クライエントのライフスタイルに関する情報を引き出そうとしている。

まとめ|ココだけはおさえておこう
- キャリア構築理論
- 社会構成主義
- 職業パーソナリティ
- キャリア・アダプタビリティの4次元
- ライフテーマ
- キャリア構成インタビュー
①キャリア関心:職業人として自らの未来について関心を持つ。
キャリア・アダプタビリティで最も重要な次元。
②キャリア統制:職業上の未来に対して自ら統制する。
キャリア統制とは、自分のキャリアを構築するのは自分の責任だと自覚し確信すること。
③キャリア好奇心:自らの可能性と未来のシナリオを模索することに好奇心を発揮する。
④キャリア自信:自らの願望に実現するために自信を持っている。
挑戦し困難を乗り越えられることで得られる自己効力感のこと。