出題頻度

ナンシィ・シュロスバーグは、スーパーのもとで博士号を取得し、カウンセリング心理学専攻の名誉教授を務める傍らトランジションワークスというコンサルタントグループの代表。1999年キャリアカウンセラーの専門研究組織NCDAの会長を務めるなど、アメリカを代表する理論家であり実践家。
キャリア・カウンセリングの対象が「人の持つ職業問題」ではなく「職業問題を持つ個人」として、シュロスバーグは個人が遭遇するさまざまな転機とその対処について述べている。
転機(トランジション)の理論の代表的な理論家で、「シュロスバーグの4S」や「成人の発達を捉える4つの視点」「トランジションへのアプローチ」など、試験への出題頻度は高いので、しっかりと抑えておきましょう!
もくじ
理論的背景
成人の発達を捉える4つの視点
- 「中年の危機(ユング)」に誰しもが同じような危機を経験すること。
- 人生の途上で共通して経験する発達的課題や転機がある。
- 個人を取り巻く環境が、成人の発達の決定的要因である。
これらの視点を整理し、4つの視点として表した。

転機への対処プロセス
(1)出来事そのものではなく、それをどう受け取るか、それにどう対処していくかが課題である。
(2)クライエントの問題に対処する方策としては、情動中心の対処と問題中心の対処がある。
シュロスバーグのトランジションについて明確にしておこう!
「発達論的な視点」と「人生上の出来事という視点」の大きく2分類される。
❶ 発達課題の移行期としてのトランジション
❷ 人生上の出来事の視点から見たトランジション
理論上の概念
シュロスバーグの理論上の概念は、「成人の行動を理解したり見定めたりするためには、それぞれの人が、❶個々の役割・❷人間関係・❸日常生活・❹考え方を変えてしまうような転機それ自体に注目することが重要である。」
個々の役割・人間関係・日常生活・考え方にどの程度影響を与えているかを識別することが必要としています。
トランジションへのアプローチ
転機の識別
転機には次の3種類がある。
- 予期していた転機(出来事)
- 予期していなかった転機(出来事)
- 期待していたものが起こらなかった転機(ノンイベント)

転機のプロセス
- 「転機は、最初の段階は、始まりか終わりである」という考え方。
- 個人が転機のどの位置にいるかを見極めることが重要である。
- シュロスバーグは、転機(トランジション)に焦点を当てている理論をまとめ、トランジション・プロセスの統合モデルを示した。
○ブリッジズ:個人にも組織にも適応する転機のプロセスを提唱。
○ルイス:組織に入るプロセスを提唱。
○エバウ:役割からの離脱を提唱。
対処のための資源を活用する(4つのS)

シュロスバーグは、どんな転機でも、それを見極め、点検し、受け止めるプロセスを通じて乗り越えることができ、またこの転機を乗り越えるための資源は4つのSであると提言しました。
- Situation(状況):転機がもたらしている状況を評価する
- Self(自己):自己の特性や価値観を評価(理解)する
- Support(周囲の援助):考えられる資源と支援
- Strategies(戦略):状況・自己・支援などの多面的に天気を乗り越えていく方法を具体的に検討する
キャリアコンサルティングへの応用
4Sを個人カウンセリングに活用する方法をコーミアーとハックニーはカウンセリングのプロセスとしてモデル化しました。
- 第一段階:ラポール形成
- 第二段階:アセスメント・質問
- 第三段階:ゴールの設定
- 第四段階:カウンセラーの介入
- 第五段階:終結・フォローアップ
まとめ|ココだけはおさえておこう
- 成人の発達を捉える4つの視点
- 転機の識別(3種類)
- 識別に必要な影響要因(❶〜❹)
- シュロスバーグの4S
❶ コンテクチュアル(文脈的)/カルチュアル(文化的)
❷ ディべロップメンタル(発達的)
❸ ライフ・スパン
❹ トランジション(転機)