出題頻度

精神分析は、ウィーンの医師フロイトによって創始された、人間の心理的援助理論としてもっとも早く開発され、現在のカウンセリング界にまで根強く影響を及ぼしている理論。
フロイトは、催眠を用いた治療からヒステリー研究を経て、精神分析を思案、多くの理論を展開し、そこから精神医学はさまざまな分野に広がり、アドラーやユングをはじめとした多くの精神分析学派を生みました。
「理論の背景」や概念となる「構造論」「局所論」、「防衛機制」を中心に、「精神分析療法」のキーワードはしっかりとおさえておきましょう!
もくじ
精神分析的カウンセリング
理論の背景
- 「人は自分の知らない自分=無意識に動かされている」「人間は本能の塊である」とみなし、「生きていく上でのエネルギーは、全て本能部分が源であり、それを分化させていく。自由奔放な本能や欲求をいかにコントロールし、人間に相応しい理性や良心を培っていく過程が発達である」というのが精神分析の人間観。
- 心理的不適応は、無意識下に抑圧されるものが引き起こしているので、無意識を意識化し、それを受け入れられるようにしていくことが治療とかんがえる。
自由連想を通じて抑圧した何かがないか問題の要素を探り、無意識を多く意識化し、洞察が深まれば問題は解決する。 - 精神分析的アプローチでは、キャリア選択や仕事への適応に関連する現在の行動と過去の経験を関連づけてかんがえる。
主要な概念
構造論
- 人間の心は、
○ エス(イド)…衝動的な本能エネルギー
○ 自我…現実認識の力
○ 超自我…人間として生きる上での理想的な良心
から成り、自我は、エスや超自我、外界からの刺激をコントロールしながら、自分たしさを保とうとする。
局所論
- 心は、意識・前意識・無意識の3層からなるとした。
- 無意識とは抑圧されたものからなる領域(意識していると不快なので意識から締め出されたもの)⇨本人の努力だけで意識に上がらせるのは困難⇨精神分析で意識化し、扱う。
心理的発達論
- フロイトは、心の(自我)の発達を、性的エネルギー(リビドー)の出現の仕方や充足のあり方によって5つの段階(口唇期・肛門期・男根期(エディプス期)・潜伏期・性器期)に分類。
- それぞれの時期に欲求が十分に満たされていなかったり、過剰に満たされたりすると、リビドーの固着という現象が生じ、精神・性発達がある段階でとどまってしまい、それが性格傾向に影響を与えると唱えた。
- 心理的な不適応や思考や行動上のこだわりが、口唇期や男根期などに由来していることもある。
- 固着があっても、多くは発達段階を進むが、その後に欲求挫折が生じると退行が生じる。
口唇期 | 生後〜1歳 | 授乳・摂食によって口唇から快感を得る時期 |
肛門期 | 1歳半〜3歳 | 排泄器官の神経発達による排泄コントロール・肛門周辺の開館による満足を得る期間 |
男根期(エディプス期) | 3〜6歳 | 異性の親への愛着、同性の親への敵意、罰せられる不安というエディプス・コンプレックスと去勢不安 |
潜伏期 | 6〜12歳 | 児童期で性的欲求より知的・社会的関心が強まる |
性器期 | 12歳〜 | 身体的成熟に伴い、事態愛から対象愛へと変わる |
防衛機制
- 意識として受け入れが困難なことに直面すると、自我が意識に受け入れ可能な形で処理する心の働きとして、「防衛機制」があるというかんがえ。
- クライエントのアセスメントにも有用で、流派を問わず援用されている。
※ ↓13種類のうち、特にピンク下線の7種類は学科試験出題頻度高いのでしっかり覚えておきましょう。
種類 | 概要 |
---|---|
抑圧 | 認められない欲求や苦痛な感情や記憶などを、無意識の層に押し込めて、 意識に上がらせないようにすること |
否認 | 出来事の意味の一部や全体を拒否し、存在しないことにすること |
反動形成 | 苦痛な感情や受け入れ難い欲求を抑圧し、反対の方向の態度を取ること |
置き換え | 本当の欲求を抑圧し、身近で手に入れられる欲求を満足させることで、 充足すること(妥協) |
合理化 | 満たされなかった欲求に対して、もっともらしい説明をつけることで、 認め難い現実から目を逸らす |
同一化 | 取り入れともいう。自分にとって大切な人の一部の特徴あるいは全部を 自分の中に取り込む、あるいは同じものだとして振る舞うこと |
補償 | ある部分に劣等感を感じている場合、他の部分を優位にしたり、 優位に立つことで劣等感を埋め合わせようとすること |
知性化 | 感情や欲求、葛藤などを意識化して解放するのではなく、知識を集めたり 抽象化する知的態度を取ること |
抑制 | 苦痛な感情や記憶を意識の外に追い出すこと。「抑圧」がその過程を意識 できないのに対し、「抑制」では意識的に行われる |
愛他主義 | 自分では満たすことのできなかった欲求を、他者が満たすことのために 献身的に尽くすこと |
ユーモア | 苦痛における不快な感情でエネルギーを消費するのではなく、笑い飛ばす ことで発散・解放し、苦痛を凌駕する |
昇華 | 社会的に認められない欲求や、満たされなかった欲求を、社会的で価値ある 行動へ転じたり、別のより高い木浦湯を達成することで満たすこと |
予期 | 将来生じる不快な感情に対する現実的な予期であり、 それに対して対処するための計画をすること |
精神分析療法
- 自由連想法
カウチに横たわり、思いを浮かぶ言葉を全て語ってもらう。 - 夢の分析
フロイトによると夢は無意識が抑圧され変形され加工されたもの。夢に現れたものを自由連想で紐解き、潜在的思考をあぶり出して明らかにする。 - 介入と解釈
①明確化…内容について明確にすることで、最も多用される作業。
②直面化…クライエントの無意識の重要な問題を直視するよう促し、現実と照合する。 - 抵抗の分析
抵抗:クライエントにとって耐え難い抑圧されていた無意識が現れそうになると、それに蓋をしようとするような思考パターンや行動が生じること。
→抵抗を分析することで防衛や無意識的過程を明らかにする。 - 転移の分析と逆転移
転移:クライエントにとって重要な誰かに抱いてきた感情wp、カウンセラーに向け変えること。
まとめ|ココだけはおさえておこう
- 理論の背景の下線部
- 構造論
- 局所論
- 防衛機制(特に下線部7種類)
- 精神分析療法の下線部キーワード