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ナラティブ・セラピーは1980年代後半から、複数の国々で実践された一群の心理療法の総称。社会構成主義から影響を受けて起こった大きな論理的・実践的変化。
アメリカのアンダーソンらのグループとニュージーランドのホワイトとエプストンらのグループによって提唱された。
理論的背景や主要概念・技法に出てくるキーワードを中心にしっかりとおさえておきましょう!
理論的背景
- 家族療法を起源とし、社会構成主義から影響を受けて起こった、大きな論理的・実践的変化。
- 語りによって構成される現実や、語りがもたらす意味を重要視し、クライエントが置かれている文化社会的なコンテクスト(背景文脈)を明らかにしようとするもの。
- 自己について語ることが自己を構成するという、社会構成主義的な自己論に立脚し、新たな語りを生むことが、新たな自己を構成することに通じると捉える。
主要概念や技法
- ナラティブ・セラピーでは、治療者とクライエントとの会話を、問題解決の手段とは必ずしも考えず、会話のプロセスそのものが治療と考え、問題の浸透しているストーリー(ドミナント・ストーリー)とは異なった、それに代わるストーリー(オルタナティブ・ストーリー)をクライエントと治療者が協働しながら構築していくことに主眼が置かれる。
- アンダーソンが治療者に勧めた態度が「無知の知」
クライエントこそが自分自身の問題について専門家であることを認め、治療者自身の専門知識や先入観をいったん脇に置き、「知らない」という立場に意図的に立つことによって、クライエントの語りを尊重し、会話を促進しようとした。 - そのような過程を促進するために、治療者は、循環的な質問・再帰的な質問・会話的な質問など積極的に用いる。このような技法を多用する点において、ナラティブ・セラピーは古典的な非指示カウンセリングとは異なっている。
まとめ|ココだけはおさえておこう!
- 提唱者:ホワイト、アンダーソン、エプストン
- 社会構成主義
- 「語り」によって構成される現実、「語り」がもたらす意味
- 自己について語ることが自己を構成する/新たな語りを生むことが新たな自己を構成する
- 会話そのものが治療と考える
- ドミナント・ストーリー
- オルタナティブ・ストーリー
- 無知の知