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行動療法は、パブロフの犬の唾液実験で有名なパブロフやワトソン、1950年代ごろからスキナー、ウォルピ、アイゼンクらによって体系化された心理療法のひとつ。
それぞれの理論の「提唱者」や「行動療法の治療の考え方(学習理論)」・「レスポンデント条件づけに基づく技法(系統的脱感作・暴露法・アサーショントレーニング)」・「オペレント条件づけに基づく技法(応用行動分析・トークンエコノミー・シェイピング)」を中心にしっかりとおさえておきましょう!
もくじ
行動療法
理論的背景
- 刺激と反応の関係を実験から検証し、問題行動や悩み、症状は、刺激に対して反応する方法を学習することから生起する。よって不適応行動を引き起こす誤った学習には行動を変容させれば良いと考えた。
- 人間は白紙の状態で生まれ、得た刺激に対して反応する方法を学習することによって、人間の言動が形成されると考えた。
- 治療は望ましい学習のし直しという観点から行われ、治療の目的は外的な行動を変えることに置かれる。これはロジャーズの内的な心の中の真実を理解しようと努める姿勢とは対局にあると言える。
- 現在の行動療法は「行動科学から引き出された知識を系統的に利用して、人間の問題の把握と変容に応用する技術の総体」として包括的に理解されている。
- 現在、行動療法の理論の大枠は、4つに分けられる。
❶ 新行動S-R理論
❷ 応用行動分析
❸ 社会学理論
❹ 認知行動療法理論
主要な概念や技法
- 行動療法は、学習理論に基づく。
- 行動療法における学習とは、経験に基づく行動の比較的永続的な変容を指し、生体と環境との相互作用で生じる反応全てを指す。
- 行動療法では、不適応行動や問題行動も学習によって形成され、治療も学習によって可能であると考える。
- 行動療法の学習理論としては次の3つ。
❶ レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)
❷ オペラント条件づけ
❸ 観察学習(モデリング)
❶ レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)に基づく技法
① 系統的脱感作
- ウォルピによって「逆制止による心理療法」として独自に提唱され、行動療法が提唱されたとき、行動療法の主要な介入法の一つとして加えられた。
- 系統的脱感作法はレスポンデント条件づけを基礎とした「拮抗条件づけ」で説明される、拮抗条件づけとは、刺激Sに対して反応R1が見られる場合、刺激Sに対して新たな反応R2を引き起こすことによって、R1を除去する方法。
- リラックスした状態で不安を引き起こす刺激と反応のパターンを徐々に弱める。
- 系統的脱感作をベースに「エクスポージャー(暴露法)」へと発展。拮抗条件づけが対人緊張に有用という背景から「アサーション・トレーニング」やソーシャル・スキル・トレーニング(SST)のもとにもなっている。
❷ オペレント条件づけに基づく技法
① 応用行動分析
変容の目標とする問題行動が、どのような先行刺激のもと生じて、問題行動の後にどのような後続刺激が生じているかを分析。
問題の維持要因となっている環境との相互作用について仮説の生成・検証を行う。
② トークンエコノミー
特定の行動を増加させるために、食べ物や褒め言葉、代理貨幣(トークン)を与えたり(正の強化)、すでにその行動に与えられている非難や叱責などを取り除く(負の強化)。
逆に、特定の行動を減少させるためには、すでに与えられていて報酬となっている刺激を取り除いたり(負の罰)、注意したりする(正の罰)。
③ シェイピング
目標行動が生じにくいときは、目標に近い行動をまず条件づけ、段々と目標に近づける方法。
❸ 観察学習(モデリング)
モデリングとは、必ずしも直接経験したり、強化が与えられなくても、他社の行動をモデリング(観察)することで学習が成立すること。
望ましい行動を直接あるいは映像で見せ、クライエントがそれを模倣することによって適応行動を習得。ロールプレイはこれに含まれる。
まとめ|ココだけはおさえておこう
- 行動療法の治療の考え方(学習理論)
- レスポンデント条件づけ
- 系統的脱感作
- エクスポージャー(暴露法)
- アサーション・トレーニング
- オペラント条件づけ
- 応用行動分析
- トークンエコノミー
- シェイピング
- 観察学習(モデリング)